中国チェーン企業の参入戦略と成長機会
(三)

2 中国チェーン外食業態の細分化分析

2.1 中国チェーン外食・細分カテゴリーの市場動向

       飲食業界全体の規模は大きく、チェーンブランドも数多いが、概ね以下の5カテゴリーに分類できる。中華・洋風ファストフード、正餐(フルサービスレストラン)、風味軽食(スナック)、火鍋、現制茶飲・酒場である。

       中華ファストフードは、伝統的な中華料理をベースに改良を加え、大衆の日常的な食事ニーズに対応する業態である。調理工程は比較的少なく、炒める、蒸す、煮込むを主な調理法とし、一品で満足感が得られる手軽さ、提供スピード、価格の手頃さを特徴とする。代表例は袁記雲呑、真功夫など。洋風ファストフードは、欧米発祥で揚げる、焼く、グリルするといった調理法を中心とするファストフードで、KFCやピザハットなどが代表例である。

       正餐は、中国八大菜系や各国料理を基にした本格的な飲食サービスである。調理工程は複雑で、色、香り、味、体験価値の総合的な演出を追求する。

       風味軽食は、地域色の強い特色ある軽食である。土地の風土や気候に基づいて長年形成され、ローカルな味わいと文化的要素を備える。代表例は正新鶏排などである。

上記4区分のほか、火鍋チェーン、店頭製造型ティードリンクチェーン、コーヒーチェーンなども業界内の重要なカテゴリを構成している。

図表23 中国チェーン外食の主要カテゴリー別代表ブランド

品类

代表品牌

中西式快餐

必胜客、真功夫

正餐

小南国、九毛九

风味小吃

正新鸡排

火锅

海底捞、呷哺呷哺

现制茶饮及酒馆

海伦斯、瑞幸咖啡

出典:和君整理

       売上高ベースで見ると、中華・洋風ファストフードと火鍋の2カテゴリーは他の3カテゴリーに大きな差をつけており、両者の合計で業界全体の8割超を占める。中華・洋風ファストフード、風味軽食、現制茶飲・酒場の3カテゴリーは、過去3年間で標準化と複製可能な運営モデルを通じて急速に拡大し、いずれも2桁成長を記録して業界平均を大きく上回った。正餐カテゴリーはコロナ禍の影響を最も強く受け、2019年の収益規模を下回った唯一のカテゴリーである。

       利益面では、全カテゴリでコロナ前と比べて減少したが、中華・洋風ファストフード、風味軽食、火鍋の減少幅は相対的に小さかった。

図表24 2022年 チェーン外食の細分カテゴリー別売上高(億元RMB)

出典:中国連鎖経営協会

図表25 各カテゴリーのサンプル企業における売上高平均成長率(2022年対2019年)

出典:中国連鎖経営協会

図表26 各カテゴリーのサンプル企業における平均利益率(2022年、%)

出典:中国連鎖経営協会

図表27 各カテゴリーのサンプル企業における平均利益率の変化(2022年対2019年)

出典:中国連鎖経営協会

       厳しい環境を受け、サンプル企業の多くは対応策を講じている。外部では新たな収益源の開拓として、デリバリーメニューや関連商品の迅速な開発、「一人用」テイクアウトセットの投入、自社デリバリーミニプログラムの構築を進め、第三者配送プラットフォームへの依存を引き下げた。内部ではコスト削減と効率化を徹底し、リスクへの備えを強化している。味千ラーメン、太興、海底撈などは出店計画を慎重に見直し、単店収益性を重視している。

       コロナ禍の影響が徐々に弱まり経済が回復基調に向かう中、今後中国飲食業・チェーン飲食企業は黒字化が期待されている。