中国家具・インテリア企業の日本市場進出戦略
(一)

2025年という特殊な時期において、世界貿易の構図は「関税の嵐」によって揺れ動いています。家具業界もまた積極的に方向転換の道を模索しています。その一例として、以下の動きが見られます。 • 越境ECプラットフォームはアルゴリズムによる精密なマッチングで需要を的確に捉え、関税コストをブランド価値向上の機会へと転換しつつあります。 • 竹工芸のような環境に優しい素材と現代的なデザインの融合により、伝統技術が国際市場で新たな価値を発揮できるようになっています。

一方、日本市場は業界外の人々には見落とされがちな有望な市場です。その理由として、以下の点が挙げられます。 • RCEP協定の下、関税ゼロ措置と原産地累積ルールによって、中国と日本が協力して一つの家具を作り上げ、質を高めることが可能になっています。 • 日本は中国の家具輸出において、米国に次ぐ第2位の主要市場となっています。 • 中国の若者に人気の「日式収納美学(日本式収納術)」と、日本のSNSで話題の「新中式茶室(新しい中国風の茶室)」は、共に東洋に共通する美的センスを体現しています。 • より豊かな生活を追求する中で、スマート技術と環境配慮の理念が融合し、高齢化・スマート化する未来社会のビジョンを共に描き出しています。

こうした好機に加えて、中国の家具・インテリア企業は次のような課題にも直面しています。 • 非効率で同質化した価格競争から脱却し、価値の差別化によるブランド主導へと転換すること。 • 製品の大量生産やコスト削減一辺倒の方針から、消費者ニーズを優先し機能イノベーションを重視する方向へとシフトすること。 • 現地市場での信頼を醸成し、販売前から販売後に至るまで製品とサービスを両立させたビジネスモデルを構築すること。 これらは、中国企業が日本市場、ひいては世界市場に事業を展開する上で習得すべきスキルであり、克服すべき課題でもあります。

中国家具・インテリア業界の現状分析

中国家具・インテリア業界の概況と最近の市場動向

中国の家具・インテリア市場は現在、成熟度が高く競争が激化しています。業界内の分業体制は細分化が進み、近年では家具メーカーの数も増加傾向にあります。直近5年間で家具製造企業数は着実に増え続け、2023年12月時点で全国に7,344社と前年から71社増加しました。また、過去3年の中国国内における家具生産量はいずれも年間9億点を超えており、生産規模の拡大に伴って業界内の競争も一層激しくなっていることがうかがえます。 販売チャネルに目を向けると、従来型のオフライン家具売場(大型専門店やショールームなど)は依然として重要な地位を占めていますが、不動産市場の低迷やパンデミックの影響により店舗の客足は大幅に減少しました。一方で、淘宝(タオバオ)や拼多多(ピンドゥオドゥオ)、京東(ジンドン)といったECプラットフォームが急速に台頭しており、オンラインチャネルの存在感が増しています。

中国家具・インテリア業界のサプライチェーン概況

        中国の家具・インテリア業界は、家具製造と室内装飾の二大セクターから成り、産業チェーンの裾野が広いことが特徴です。 上流(原材料供給段階): 木材、鋼・アルミ・銅などの金属部品、PVC・PS・PE・PAなどの各種プラスチック、天然繊維・化学繊維、陶磁器などを提供する多数の原材料サプライヤーが存在します。上流の供給業者は数が多く市場集中度が低いため、中流メーカーに対する価格交渉力は弱く、粗利益率はおよそ20%程度に留まります。

中流(生産・製造段階): 家具やインテリア製品のメーカーが中心で、顧家家居(KUKA)、美克美家(Markor)、光明家具といった著名ブランドが含まれます。上流に比べて製品の付加価値が高く、粗利益率は30〜40%程度です。近年、中国の家具製造分野では顧家家居や索菲亜(SOGAL)などが高いブランド知名度を確立しており、業界全体としても成長を続けています。

下流(販売段階): 流通チャネルはオンラインとオフラインに大別されます。オフラインでは欧亞達家居、紅星美凱龍(Red Star Macalline)、居然之家(Easyhome)などの大型家具チェーンや各ブランドの直営店・フランチャイズ店が主要プレーヤーです。2023年には国内大手家具チェーン各社がいずれも30%以上という高い粗利益率を記録しており、例えば匠心家居が34.0%、紅星美凱龍が61.7%、居然之家が48.1%に達しました。しかしながら、近年の不動産市場の落ち込みやコロナ禍の影響で実店舗の来客数が減少する一方、淘宝や拼多多、京東などを通じたオンライン販売が急速に拡大しています。